最近、久しぶりに新聞のコラムでウスビ・サコさんの記事を読んで、3~4年前、テレビに出演されていた頃を思い出し、この本を読みたくなりました。
サコさんは、1966年マリ共和国に生まれ。
1985年中国に留学したのち、その頃「謎の存在」だった日本に渡ります。それまで、サコさんの日本人の印象は「電化製品をいっぱい持っていて、いつもレトルトカレーを食べている。人工的に作られたものを好んで使う人たち」でした。
サコさんは、日本語学校や大学で勉強するために、会話の語尾にいつも「やんか(例:まちがっとるやんか)」が付いている関西で生活することになります。そして、大学の教授になり、「近代建築の合理性や機能性」を研究テーマにします。芸術や建築の他に都市論の授業も担当し、学生たちとのやり取りのなかで日本社会を理解していきます。
サコさんは、日本の学生は「『誰かが自分に自由を与えてくれる』と勘違いしている」と感じます。
日本人は誰かに頼る民族に見えるのです。個人が中心になる時代には、個人が尊重されると同時に、個人が自由を獲得しなければならないはず、と言います。
サコさんは、学校というものに対する日本人の過剰な期待に驚きます。
学校以外の誰にも制約されない時間やだらだらした時間を使って考えたり遊んだり、家庭での余暇の時間をしっかり使うことによって自分自身が成長すると考えます。また、日本の教育が、「将来何になりたいか」「何をやりたいか」という目標のある教育ではなく、いかに偏差値の高い学校に行くかで評価していることに疑問を持っています。
サコさん、とても魅力的な人です。