だれもが大切される社会に 県民応援NPOプロジェクト2024
2022年からスタートした県民応援NPOプロジェクト。
2024年度も採択された3団体とともに活動を展開してきました。12月の中間報告会では、主に実施した事業紹介をしていただきました。
・認定NPO法人フリースクール三重シューレ
本事業は「不登校の子どもやその保護者が相談しやすい、情報を得やすいホームページにリニューアルしたい」という思いから始まりました。大切にしたことは「当事者視点」です。そして、当事者のリサーチ、その結果を踏まえてのホームページのリニューアル、みえ不登校フォーラム開催、ネットワークの登録情報の拡充、に取組みました。
当事者のリサーチは、不登校経験のある方3名と不登校経験のある子の保護者7名の方を対象に、1時間程度、「辛かったこと」と「困ったこと」について聞かせていただきました。音声データの文字起こしを行い、当事者視点の伝えたいことをHPに掲載しました。
みえ不登校支援ネットワークのホームページリニューアルは、「当事者リサーチ」をもとに、三重シューレのデザイン講師と相談しながら、HPのコンセプト・構成・内容について検討し、デザインを決定しました。また、現在登録している施設や機関に情報の更新を依頼し、新たな登録団体を増やすために諸団体に呼びかけをしました。不登校への対応についての「Q&A」を作り、当事者視点の対応の仕方を知ることができるようになりました。「このHPに早く出会いたかった」という声が寄せられています。
ネットワークの登録情報の拡充は、県内のフリースクールや通信制高校を中心に、新しくHPに情報を掲載する施設・支援機関を検討し、依頼しました。「居場所・学びの場」として登録している団体は、「団体紹介」「キャッチコピー」「特徴」「子どもたちはどのように過ごしていますか?」「子どもとスタッフはどんな関係ですか?」の5つ項目を質問し、いただいた情報をHPで公開しています。HP公開後は、「お知らせ」のページを活用してさらに登録団体の募集を呼びかけています。
みえ不登校フォーラムは10月19日に行い、約140名の方にお越しいただきました。今年は初めて三重県教育委員会と共催で行うことができました。不登校経験者や不登校経験者の保護者から直接の思いや経験をお聞きしました。
三重県に当事者視点の不登校支援を広げるためのプラットホームを作ることができ、誰にでもわかりやすく当事者視点の支援を伝えられるようになりました。登録団体が増やす基盤もでき、不登校支援のポータルサイトとして発展することができました。プロジェクトを通じて、全スタッフが改めて「当事者視点の支援」を考え、スタッフ間の情報共有や検討がいつでも可能な組織に成長することができました。
今後もより多くの当事者に届くように広報の強化、HPやフォーラムの充実を図ります。
・認定NPO法人ときわ会藍ちゃんの家
災害時の備蓄推進や食物アレルギー、食品ロス等の課題解決のため、新しい食品機器を導入し常温で長期保存ができる惣菜の開発を行っています。全国に向けて製品を販売し売上を確保することで、NPOの組織基盤の持続性及び強化を図りつつ、「防災食の普及」や「食育に関する意識の向上」を目標としました。
常温で長期保存可能な惣菜を製造するために、新しい調理法の導入が必要であり、食品機器を10月末に搬入し建物の改修工事を11月中旬に完了しました。この間、食材の旨味と素材の食感を生かす「新含気調理」の専門家に指導を受け商品開発を進めている他、広報のためのWebサイトやパンフレット、チラシも準備しています。
法人の活動として、子ども食堂の実施を毎月第3土曜日に継続しており、今回県民の皆さまとの交流の場として、防災と食育に関するワークショップを2回実施しました。第1回目は9月14日に「防災について学ぶ・知る・遊ぶ」をテーマに「三重さきもり倶楽部」から講師をお迎えし、災害時の危機管理の話と防災科学実験をしていただいた他、パネルや非常食の展示、防災グッズの展示及び体験、ダンボールハウスづくりなどを行いました。第2回目は11月30日に「家族で防災と食育の大切さを学びましょう」をテーマに、管理栄養士から被災時にバランスよく食事をとる重要性についてわかりやすく教えていただき、防災と食育に関する展示やアクティビティも楽しみました。
現時点で新製品の販売には至っていませんが、今後の販売に向けて、新製品のロゴやパッケージの制作など販売に向けての準備をしており、また、惣菜について知ってもらい「防災食の普及」や「食育に関する意識の向上」の目標を達成できるよう広報活動も推し進めています。今後は、課題を解決しつつ県内そして全国に向けてどのように惣菜を売っていくかについて販売戦略と広報戦略を立てながら、NPOとして更に成長していきたいと思っています。
・NPO法人太陽の家
申請したとおり、3つの事業を行いました。1つ目は「校内カフェ・フォーラム」です。7月に開催し、基調講演と実践報告を通じて「校内カフェ」の意義と可能性について参加者と共有しました。参加者は約120名で、教育関係者や地域のNPO、ユースの支援を希望する方の参加が多かったです。校内カフェの推進に向けての基盤が形成されつつあります。
2つ目は、「ユースワーカー研修」事業です。7月から受講募集を行い、10月スタートの研修プログラムの準備を進めました。研修は計4回。講義とワークショップが2回、現場実習、研修のふりかえりを行いました。ユースワーカーに関する専門家や臨床心理士、社会福祉士、実際に校内カフェやユース支援の取組みをしているNPOの方を講師に、実践的な内容とし、学ぶだけではなく実際のボランティアへの参加に繋げる工夫をしました。ユースワーカー研修に多くの受講者が参加しました。質の高い人材の育成により、校内カフェがより効果的な支援の場としての役割を強化しています
3つ目の「フードドライブ」事業については、地域住民や企業から多くの食品をいただくことができ、関係性も育まれ、支援継続が可能となる基盤ができつつあります。
フォーラムや研修を通して「校内カフェ」や「ユースワーカー」の概念や効果、必要性を知っていただくことで多くの地域でその実現を望む声が上がりました。行政や教育関係者にこの取り組みを知ってもらったことは、校内カフェの設置に欠かせない学校の協力において大きな意味があると考えます。行政との連携により、政策支援や規制の整備が期待でき、教育関係者との協働により、校内での具体的な運営や教育的支援がスムーズに進みます。こうした関係者と築かれたネットワークは、新たな共同プロジェクトの基盤となり、居場所づくりのスケールアップに向けた重要な一歩になったと思っています。
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