東海市民社会ネットワークの年度総会の記念イベントとして、ロシアのウクライナ侵攻、核兵器の脅威を直視し、今だからこそ「市民が平和について語りあう場」を開催しました。2部構成とし、前半はNPO法人ANT‐Hiroshimaの渡部朋子さん(朋子さんと呼んでください、とおっしゃられたので、以下、朋子さん、にします)を講師に「市民の立場からの核廃絶」と題する基調講演、後半は、朋子さんのお話をお聞きしての参加者の「平和」についての思い、意見の交換会としました。
「平和が脅かされている今だからこそ、平和を考える。」
講師の朋子さんは広島生まれの広島育ち。被爆地「ヒロシマ」を世界に伝えたい、と話します。そして、「あなたにとって平和とはどんなこと?」と参加者に尋ねます。
そのあと、「私とヒロシマ」と題して、被爆された看護学生のお母さんの話、ヒロシマとは何か、被爆された方の絵や写真を映しなぜこのようなことが起きたのか、について柔らかな口調でありながらも厳しく話されました。
「渡部朋子+ANT‐Hiroshima=平和」
朋子さんが作られたNPO、ANT‐Hiroshimaには、ヒロシマの果たすべき役割とは、という思いが込められています。広島に生きている私にできることは何か、問い続け活動をされています。
「ANTはAsian Network of Trustの略。一人一人の力はアリ(ant)のように小さくとも、信頼のきずなをベースに世界各国の人々やNGOなどと協働することで、大きな平和を実現できると信じ、日々活動しています。」
ANTの活動は、平和活動、平和教育、平和文化交流、まちづくり、国際交流と多岐にわたります。すべての根っこにあるのは、信頼と平和。世界に、地域に、ヒロシマを伝えるとともに、アフガニスタンの難民支援や地震被災国の復興支援にも力を注いでいます。
国際平和事業である、sadakoの絵本「おりづるの旅」(うみのしほ著)の多言語化プロジェクトは、30か国以上の言語に翻訳され、絵本を通して世界各地の子どもたち・人々に、ヒロシマ・核の恐ろしさを伝えています。過去の戦争の悲惨さを伝えながら、今、戦禍にある子どもたち、戦争による苦しみや悲しみの中にある子どもたちに想いを馳せ、私たちに何ができるかを問いかけています。
「私たち+□=平和」。この□には何をいれますか?
だれもが被爆者になりうる地球上のすべての人に向かって、「ワタシゴト」になるための投げかけです。「同じ苦しみを体験しているから謙虚に敬意をもって支えあい、互いに聞きあい、互いに学びあうことができる」と、朋子さんは話します。そして、2021年に発効された核兵器禁止条約、そして今年6月21日から23日まで行われる締約国会議について、さらには、2023年に広島で開催されるG7サミットについて、思いを話されました。
私たち、市民、市民社会、NGO、NPOに何ができるのか。
後半は、私たち市民、NPO、NGOが朋子さんの話を聴いて、どう感じ何をするか、何ができるか、どう動くかについての意見を交わす時間をもちました。
・核抑止をどう捉えるか。
・なぜ日本は核兵器禁止条約締約国にならないのか。
・ウクライナの今の状況に対して何ができるのか。何もできないのではないか。
それぞれの思いや矛盾、疑念を交わしました。
東海地域でも、多様な分野の市民活動、NPO、NGOが世界や地域の課題に向きあい活動をしています。平和の実現のために、分野を超えてつながる、セクターを超えてつながりあう。つながりこそが、平和をつくる力になる。広島でG7が開催される前に、開催時に、市民社会が連帯し、世界に強く発信し、行動を生み出す。東海市民社会ネットワークの役割です。
※東海市民社会ネットワークは、2016年の伊勢志摩サミットを契機に、愛知、岐阜、三重の3県NGO/NPOが連携し、地域と世界を結ぶ視点をもつ力強い市民社会づくりを目指して結成された団体です。当センターの施設管理者代表NPO法人みえNPOネットワークセンターは幹事団体です。